相続・高齢者支援専門行政書士のかみおかです。
年末だからでしょうか、遺言のご相談が続いています。ただ、どうにも遺言は、ご相談いただいてから、翻意されてのキャンセル連絡が多い気がします。この理由と、遺言を作成するべき理由について今日は書いてみようと思います。
<キャンセルの理由>
①残す、分けるほど財産がないと気がついた
②家族に相談したら、反対された
③まだ急がなくてもいいかと思い直した(当面亡くなる予定もないし)
大きく分けると、ほとんどがこのどれかの理由にあてはまります。特に②は要注意です。
一般的に、遺言を作成する理由としては「誰に、何を、相続してもらうか」にあると考えられており、その考え方は間違えてはいません。ただし、遺言はあくまでも遺言者の一方的な意思表示なので、基本的にご家族に相談する必要はありません。逆に民法第968条には「受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。」とありますので、「せっかく遺言書に書いてもらったけど、受け取れない、受け取らないわ」と意思表示ができるようになっているのです。
また、遺言書作成を反対する理由として「うちの相続人は揉めないから大丈夫」というのがあります。これはもちろんのぞましい相続のかたちです。
今回、お受けした遺言書に共通したのは「相続人になりうる人が高齢で、先々私が亡くなったときにその相続人が先に亡くなっていればよいけれども、その相続人がのこされた場合に遺産分割協議に参画できない可能性があるから遺言書を作成しておきたい」というコンセプトです。
遺言書がない相続の場合、相続人が複数いれば基本的には【遺産分割協議】を要します。この遺産分割協議に参画する相続人の意思表示ができない場合、(特に金融機関は)相続人に『成年後見人』を就けてもらうよう依頼してくることがあります。今回は詳しく書きませんが、この成年後見人を就けることをあらかじめ回避するための方法としても、遺言書は有効な手段となり得ます。
終活についてのご相談は、当職を含めた専門家にご相談ください。

(投稿者・行政書士 上岡 融)