コラム

【相続】なんで相続って難しいんですか?という相談

2024年12月10日

相続・高齢者支援専門行政書士の上岡です。今回は、ご依頼人さまからいただいた、とても素朴で、とても本質的な質問にお応えしようと思っております。

相続人「相続手続って、なんでこんなに難しいんですか?役所行っても銀行へ行っても初めて聞く言葉ばっかり並べるし、もっと簡潔にならんのですかね?

これには『簡潔にできない事情がある』と表現した方が近い気がします。相続には『法律』と『利害関係者』が必ず絡むからです。なるべく簡潔に書きます。

相続手続において大切な柱は
①その亡くなった人の相続人は誰か
②その亡くなった人の財産は何か(遺言があるか)です。

例えば銀行。銀行は預貯金の名義人が亡くなったことを知ると、一切の入出金を凍結します。これは民法898条において『相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する』と規定されているからです。

銀行は預貯金の名義人に「相続人が何人いるか」をまず知りたいのです。もし相続人がお一人だと証明してもらえるなら、その相続人に預貯金全額をお渡ししても差し支えないところですが、複数の相続人がいたならば、だれか一人に預貯金を渡してしまうと、もう一方の相続人の権利を侵害してしまう危険性があるのです。(※預貯金の一部を一人の相続人が出金できる民法条文が新設されました。この話は割愛します)

相続を知る上で大切なのは『色んな立場の人から考えてみる』ことです。この話はまた改めてコラムにしてみようかなと思っています。

誤解をおそれずいえば、相続手続はすべて相続人だけで完結できます。ただし、時間をかければ、です。我々法務家に依頼をしていただけるのは、煩雑な相続手続に費やす『時間を買う』作業だと思っていただければたいへん光栄です。我々の立ち位置は依頼者さまと利害関係者をつなぐ『通訳』です。

もっと詳しい話は、1月26日および30日の『相続・終活セミナー』でもお伝えします。ご期待ください。

(投稿者・行政書士 上岡 融)