コラム

【相続】相続した土地、要らないんだけど・・・!?

2024年08月24日

相続・高齢者支援専門行政書士の上岡です。相続業務をお受けすると、亡くなった方の相続財産の中に「不動産」が含まれることが往々にしてあります。その相続不動産、資産性が高くて売りやすかったり、相続人さんが継続して住まうことが前提の場所であればよいのですが、時には先祖伝来とか、子どもが都会に出ていったために誰も住まなくなった田舎の土地が含まれることもあります。「こんな要らない土地を相続したくないんだけど」という相談もお受けすることがあります。既に人口純減社会に向かっている我が国において不動産の有効活用は喫緊の課題でもあります。

ある意味単純な解決方法は『相続放』を選択することなのですが、これは亡くなった人のあらゆる財産について相続をしない意思表示を、死亡を知ってから3カ月以内に家庭裁判所に対して申し立てる手続ですので、他に相続できうるプラスの財産がある場合には選択肢になりにくいのです。

まず大前提覚えておいていただきたいのは、土地は市町村自治体にとって『固定資産税』という大切な財源であるということです。つまり、自治体としては誰かのものとして固定資産税を支払ってもらいたい意向があります。要らんからと放棄されるのは、自治体としては辛いところです。

そこで、国としても令和5年4月から『相続土地国庫帰属制度』の取扱いがスタートしました。これは「相続において取得した土地(建物を含みません)について、【要件にあう土地であれば】国が有料で引き取る」制度です。(決して売却ではありませんし、無償引取りでもありません。)しかし、この要件が非常にハードルが高く、制度開始から2,500件近い申請に対し、700件弱の承認しかおりていないのです。(要件については当職までお問い合わせください)

本制度の対象にならない土地でも引き取りますという民間の業者もあります。NHKの番組でもこの問題を取り上げた時に民間業者さんを紹介されていましたが、その業者さんがどのようなコンセプト(趣旨)や目的で当該業務をしているのかを見極める必要はあります。この業者とは別に、日本行政書士会連合会のホームページを開きますと「山林・原野を寄付して社会貢献」を謳う公益財団法人のリンクが貼ってありますので参考になさってください(敢えて直接リンクは貼っていません)。

一部の自治体では、自治体として「その山林を管理しますから引き取ります」という制度を設定しているところもあります(兵庫県佐用町が先駆的存在です)。お持ちの不動産について、自治体で同様の制度があるかどうかは、当職にご相談いただければ当職よりお問い合わせします。

不動産の権利義務の記録(登記)を管理しているのは法務局(司法)、固定資産税を扱っているのは自治体(行政)と、管轄がまたがっているので理解しにくいところもあろうかと存じます。詳しくお知りになりたい場合は当職までお問い合わせください。(本制度の申請代理権は、弁護士・司法書士・行政書士に認められています。)土地家屋調査士とも連携してご相談に応じます。

制度の趣旨・概要や引取りの用件などについては10月の地域セミナーにてお伝えする予定です。

 

(画像は著作権フリーのものです)