コラム

【相続】遺産分割協議書の作成は義務ですか?

2026年02月01日

相続・高齢者支援(契約関連)専門行政書士の上岡です。

今回と次回は、1月セミナーの質疑応答の席でいただいたご質問にお応えします。なかなか確信をついたよい質問でした。

 

「遺産分割協議書の作成は義務ですか?」 ⇒義務の場合もあります

この質問は【対・内的】と【対・外的】に分けて捉えるとよいです。対・内的とは相続人の間のとりまとめにとどまることです。協議内容の記録の意味だったり、後日の覚書として「被相続人の財産をこのように分割した」と記入しておくことで、後日の蒸し返しを防ぐ効果があります。対・内的にとどまる限りは遺産分割協議書の作成は義務ではありません。また、相続人が1人の場合(相続放棄(民法第938条以下)によって相続人が1人になった場合を含みます)、協議する相手がいませんので、遺産分割協議書の作成は当然不要となります。

対・外的とは、相続人ではない人に「被相続人の相続財産をこのように分け、確定させた」と知らしめるためのものです。最もわかりやすいのは不動産です。不動産登記法に基づき相続登記は義務化されていますので、相続登記の前提として登記官に知らしめるための遺産分割協議書作成は必須・義務です。その結果として相続登記のなされた登記簿は誰でもお金を支払えば見ることはできますが、遺産分割協議書は第三者が勝手に参照できません。

銀行・証券等金融機関の場合、遺産分割協議書で口座解約もできますが、一般的に金融機関に遺産分割協議書を提出するケースは稀です。多いのは、各社が発行する相続届出書(各社によって呼び方が違います)に、代表相続人を決めた上で相続人全員の署名・実印押印ならびに印鑑証明書の添付にて解約をするケースです。これは「相続人全員が、被相続人の口座解約および代表相続人へ残余資金や株式の異動を承諾している」にすぎず、遺産分割協議が成立した訳ではないと考えてください。(被相続人の財産に非上場株式や保管振替機構に預けていない現物株式がある場合、詳しくは当職までご相談ください)

また、この金融機関解約に合わせて、たとえば相続届出書で被相続人の資金をいったん配偶者の口座に入金したけれども、やっぱり後日の話し合いで長女が相続することにした、といった場合には税務上の記録として遺産分割協議書がないと、配偶者から長女への贈与とみなされる可能性があります(詳細は最寄りの税務署もしくは税理士にご確認ください。当職からの紹介もできます)。

(遺産の分割の基準)民法第906条

遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。

相続人同士が争わず、譲り合うのがもっとも望ましい遺産分割のカタチです。また、次に起こりうる相続や相続税・贈与税といった税金の面も考慮しながら検討するとよいです。万が一、相続人同士が落としどころを見いだせない場合は、家庭裁判所が関わることになります(調停、審判、裁判)。

遺産分割協議書の作成は、経験豊富な当職にご相談ください。相続人同士が遠隔地の場合でも対応は可能です。

 

(投稿者・行政書士 上岡 融)