相続(高齢者支援)・契約関連専門行政書士のかみおかです。今回のコラムはレアケースですが、当職の本領発揮ともいえる内容です。
時々、不動産業者様からのご依頼で農地の所有権移転に必要な農地法に基づく許可申請をお受けしているのですが、たまに、ここにいわゆる「小作」(民法上の永小作権とは切り離して考えます)として所有権者が賃貸人となり、地域の人(故人)が賃借人として賃貸借契約が残存していることがあります。これは市町村の農地台帳にその記録があり、eMAFF農地ナビ(農林水産省提供)でもその賃貸借契約を確認することができます。
この賃貸借契約が残ったまま第三者に売却することはできませんので、双方の相続人全員の合意をもってこの賃貸借契約を解約合意することになります(民法上の消滅時効や取得時効を援用するには要件が整わないのです)。
いままで何度かこのケースを経験していますが、大抵は「そんな契約が残っていることなんてしらなかった」と言われます。賃貸借契約の登場人物が2世代前(おじいさん・おばあさん)のこともザラにあります。もちろん契約書も残ってないのが大半です。
賃貸借契約の合意解約にあたり「離作補償料」について双方の合意があれば支払もありえますが、たいていはそんな契約の存在もしらなかった相続人同士の手続のため、この補償料は発生しないのが昨今は一般的なようです。
農地に関する相続については、当職にご相談ください。
(投稿者・行政書士 上岡 融)