相続(高齢者支援)、契約関連専門行政書士のかみおかです。いつもコラムにおつきあいくださいましてまことにありがとうございます。
さて、太陽光関連の話を続けておりますが、それだけ業者さんからの問い合わせも多い分野のようです。今回は【関係法令手続状況報告】について記します。(舌を噛みそうです)
これは、特に10kW以上の太陽光発電設備(一般家庭の屋根に存することもごくたまにありますが、たいていはアパートや小規模工場の屋根、野立てがこれに該当します)において事業譲渡(名義変更)を行う場合、経産大臣(申請代行機関)に対して上記の報告を求められるものです。10kWを超える設備であれば、説明会や事前周知措置の有無を問わないようです。
具体的には
1.国土利用計画法に基づく土地売買等届出
2.都市計画法に基づく開発許可
3.河川法に基づく工作物の新築等の許可、河川区域内の土地占用・掘削許可
4.港湾法に基づく港湾区域内の水域又は港湾隣接地域における占用許可、臨港地区内の行為届出
5.海岸法に基づく海岸保全区域等内の占用・行為許可
6.急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律に基づく急傾斜地崩壊危険区域内の行為許可
7.砂防法に基づく砂防指定地における行為許可、砂防設備の占用許可
8.地すべり等防止法に基づく地すべり防止区域内又はぼた山崩壊防止区域内の行為許可
(国交省所管、農林水産省農村振興局所管、林野庁所管、ぼた山崩壊防止区域)
9.景観法に基づく景観計画区域・景観地区内の行為届出
10.農業振興地域の整備に関する法律に基づく市町村の農業振興地域整備計画の変更手続関係法令
11.農地法に基づく農地転用許可
12-1.森林法に基づく林地開発許可
12-2.森林法に基づく保安林指定解除手続、伐採及び伐採後の造林の届出
13.文化財保護法に基づく埋蔵文化財包蔵地土木工事等届出、史跡・名勝・天然記念物指定地の現状変更許可
14.土壌汚染対策法に基づく土地の形質変更届出
15.自然公園法に基づく特別地域・特別保護地区内の行為許可
16.自然環境保全法に基づく自然環境保全地域内の行為許可
17.絶滅のおそれがある野生動植物の種の保存に関する法律に基づく生息地等保護区の管理地区等内の行為許可
18.鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律に基づく鳥獣保護区の特別保護地区の区域内の行為許可
19.環境影響評価法・条例に係る環境影響評価手続
20.宅地造成及び特定盛土等規制法に基づく宅地造成等工事規制区域内・特定盛土等規制区域内の工事許可
・・・と、それぞれの法律を所管する自治体・省庁の部署を特定し、
①要件(何をするのか)、法に基づく工事等があればその内容
②手続の要否
➂回答者の氏名・部署・肩書・電話番号および確認日
のすべてについて確認したものを一覧表にして報告をしなければなりません。
過日、4カ月前に申請をかけた案件についてやっと経産大臣の認定がおりました。不備で何度も戻されたのでかなり時間がかかっている印象です。
では、なぜこんなに多くの確認を求めているかですが(これは憶測です)、特に東日本大震災以降太陽光発電設備の設置に多くの業者が参入し、乱開発や杜撰な工事も散見される中、きちんと法において確認が行き届く仕組みを整備した結果であろうと考えています。たとえば地震や大型台風といった災害において太陽光パネルが破壊され、流された場合、どの部署が所管していたのかを明確にする要請が働いたものと考えます。(ただ、実務的な運用には「?」がつくものも沢山あります。岡山駅前近くの要件なのに、なぜ港湾法に基づく確認が必要なの?とか。これはあくまでも最終的な管理が東京だからなのでしょうね。地方の地理を知らずに管理している証左ですね)
しかし、正直、これを業者さんが調査・報告するのは相当大変だろうと推定します(後付けの法律ですからね)。名義変更の手続に伴って、ご不明な場合はお問い合わせください。業者様からの問い合わせもお受けしますが、あくまでも依頼人は譲渡人・譲受人となりますのでご了承ください。また、相談料および報告書作成には報酬が発生しますので、その支払の取扱いについてはあらかじめお決めになってください。
(投稿者・行政書士 上岡 融)